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桜出版

渾身の思いを詠む─五行歌・平和へのメッセージ
  • <第3回> 紫 草子さん (サンデー毎日2007年8月12日号/同9月16日号/同9月23日号に掲載)
  • にぎり飯二つを背に 雨天決行の行軍 果ては 戦争ごっこの 国民学校行事 (「人を殺せとをしへしや」上巻230Pから)
  • ●雑草にも生きる自由

     生まれたのが鹿児島という土地柄のせいかもしれませんが、私にとって戦争とは、人を殺すことでした。国民学校(小学校)の体育の時間には、女だてらに竹槍で藁人形を突き刺し、敵を殺す訓練。学校行事として全児童が校長と教頭率いる敵味方二手に分かれて「戦争ごっこ」という軍事教練までやらされました。実戦さながらに斥候(偵察隊)を出し、女性は赤十字の従軍看護婦役をやるという本格的なもの。この歌は、竹皮でくるんだおにぎりを風呂敷に包んで襷がけに背負い、雨の中、痛い足を引きずって泣きながら「戦争ごっこ」をやる古戦場に向かう状況を詠んだものです。

     しかし、戦時中は何もかも暗かったといいますが、昭和十九年に高等女学校に進学し寮生活を送った私たちにも、ささやかな青春の思い出はあります。出水には海軍の特攻基地があり、勤労奉仕と空腹に加え空襲に怯える日々でしたが、そんな中でもクラスメートや寄宿舎仲間との心温まる交流は数多くありました。

     戦時中なら食用にされた雑草が、今では道端に蔓延っています。雑草にとっても今が平和な時代なのでしょう。カボチャと/イモと/暑い夏/それがわたしの/終戦記念日

  • 紫 草子さん
  • 紫 草子さんのプロフィール

    本名・森安幸子。昭和6年生まれ。鹿児島県立出水高等女学校24期生(同出水高等学校第2回卒)。福岡市在住。投稿専門誌『ものもうす!』編集長、観世広氏に師事。森安子のP.N.で手記・エッセイ・小説などを掲載。平成18年11月刊行の小説『いずみのほとり』は、高等女学校最後の卒業生として、自らの体験をもとに戦中・戦後の学校・寄宿舎生活を活写した小説として高評価を得た。現在は「五行歌」同人として、紫 草子のP.N.で活躍中。

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