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桜出版

渾身の思いを詠む─五行歌・平和へのメッセージ
  • <第1回> 叶 静游さん (サンデー毎日2007年7月29日号/同9月16日号/同9月23日号に掲載)
  • 航空隊を選んだ私に 父は反対だと そっと諭した母 実は張り裂けそうな 母の心だった (「人を殺せとをしへしや」上巻74Pから)
  • ●敗戦で知った母の真意

     4人兄弟の長男だった私が尋常小学校高学年の夏、いわゆる人民戦線事件が起き、妹の友人の父親が嫌疑をかけられて捕まった。その記事を林間学校から帰ってたまたま目にし読んでいた私に、母は「これが悪いことかどうかは大人になればわかること」と諭した。

     しかし、母の気持ちなど何もわからなかった私は、愛国少年となって航空隊募集に応募した。航空隊といっても、当時は戦闘機もなく、人間魚雷「震洋特別攻撃隊」の特攻兵として着任した。表題の五行歌は、私が航空隊を志願したと告げたときに母が言った言葉。が、国のために潔く散ろうと考えていた私には、まだ母の張り裂けそうな心の叫びはわからなかった。

     母の真意がようやくわかったのは、敗戦となって帰郷してからだ。あと1カ月半、戦争が続いていたら私の命はなかったが、敗戦後、特攻要員は皆殺しになるという風評が立ち、故郷に逃げ帰った。その時、思い出したのが、「なにが良くてなにが悪いか大人になればわかる」という母の言葉だった。

     その母の言葉で私の戦後の生き方は決まった。以来、私は一貫して戦争のない世界実現のための活動を続けている。

  • 叶 静游さん
  • ~叶 静游さんプロフィール~

    若い頃から、詩などを読み詩歌に親しんできたが、その後、反核、平和運動家として仕事に専念。75歳のとき五行歌と出会い、詠むようになった。その長さといいその自由さといい、形式が自分に一番合っていたからだ。それ以来ずっと現在も、平和憲法を守る活動や著書の執筆のかたわら、自らの戦争体験や平和憲法を守る大切さを五行歌に詠むことによって訴え続けている。

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